Nachi Usuda

臼田那智

「個人」への尊厳

- シベリア抑留について -

滞在期間:2016年8月22日-9月4日
制作発表期間:2016年9月3日,4日

場所:京都府舞鶴市,宰嘉庵

制作協力:NPO法人 舞鶴・引揚語りの会

出展: 京都:Re-search in舞鶴

撮影: (1)~(5)大河原光 (6)~(9)京都府

素材: 白樺の皮を剥いだ紙, スチール缶で作ったペン, ススを溶いたインク

「個人」への尊厳

- シベリア抑留について -

2016年8月22日-9月4日
制作発表期間:
2016年9月3日,4日

場所:
京都府舞鶴市,宰嘉庵

制作協力:
NPO法人 舞鶴・引揚語りの会

出展:
京都:Re-search in舞鶴

撮影:
(1)~(5)大河原光
(6)~(9)京都府

素材:
白樺の皮を剥いだ紙,
スチール缶で作ったペン,
ススを溶いたインク

京都府と舞鶴市が行うアーティスト・イン・レジデンスに参加し、2週間に渡り、土地の風土や歴史を調査した。舞鶴港が戦後「引き揚げ港」と呼ばれた歴史を辿った。
「個人」への尊重というのが、作品を作る上でテーマとして掲げており、みんながみんな尊い人間なのに、国家という見えない脅威を前に個人の尊さを失い、殺し合いをさせられる。そんな悲しい戦争の構図をもとにリサーチを行った。
引き揚げ港はかつて、戦争で戦った日本人、外国で抑留した日本人を引き揚げていた。舞鶴港は、国家の脅威に消されてしまった「個人の尊厳」が、引き揚げられるその瞬間に再び戻る場所として見えてきて、舞鶴引き揚げ記念館へ赴き、取材を行った。
記念館での取材で、舞鶴港で主に引き揚げられたのは、シベリアで抑留をしてきた日本人ということを知り、シベリア抑留経験者の取材を丹念に行った。最終的に、シベリア抑留経験者の原田さんという方のお話を、最後2日で行った成果報告展で来場者がヘッドホンで聞き、さらに紙代わりの白樺の皮と、インクがわりのススを用意して、スチール缶で手作りしたペンを使い、印象に残った原田さんの言葉を描き、壁に貼り付けていくという方法で、形にした。白樺とススと缶で手作ったペンは、シベリア抑留の際、「日本に帰る」「なんとしてでも帰る」という強い想いを詩に乗せる際に使用していたことからきている。来場者にも、この追体験をしてもらいたいという思いから、白樺にススで描くことをしてもらった。
そして、原田さんの声から、それぞれの来場者が感じ取った思いを、壁一面に貼り付けることで、シベリア抑留をきっかけに戦争に対する他者同士の感情が入り混じる、そんな空間を作りたいと思った。